幼稚園職場復帰!

私こと、くろねこ先生が、メルボルンの公立幼稚園の主任教諭(Educational Leader)になってからあっという間に1か月が過ぎた.

何だかんだ言って6年ぐらいやってきたこのEducational Leader という役職だが、これがまた食わせ物で、「もうできないッ!」とさじを投げて幼稚園教諭の教職も同時に辞め、家に引きこもったのが2021年のことである。

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それから1年たって、家からそう遠くないCardinia という地区で、市管轄の新しい幼稚園が設立され、教員を募集していると情報が入ってきた。そろそろお金も心配になってきたので、とりあえず履歴書を送ってみると、あっという間に採用が決定した。さすがに昨今の教師不足様さまである(笑)。その後は何が何だかわからないうちに、工作の材料も園庭の遊具もちゃんと揃ってないのに新しい園児がやってきて、あたふたしながらなんとかクラス経営を断行、そのまま仕事に没頭していたら、またまた「アッ」という間に1年が過ぎてしまったのである。私は数年ぶりに自分の生徒を小学校へと送り出したわけだ。

笑いあり涙ありの再挑戦!

そんな1年間だったが、実は新しい職場はかなり居心地がよかった。この職場だったらまたEducational Leaderをやってみてもいいかな、と思いついてプロモーションの面接試験を受けたらたまたま受かった、そういうわけである。

一度は「もう二度とやるものか」と啖呵を切って辞めたEducational Leaderのポジションであるが、6年間やってきた中でかなり「痛い」経験もたくさんしてきたわけで、ま、リーダーとして全く成長しなかったわけではないと思う。今回このポジションに復帰して、以前は失敗したり、できなかったり、諦めてしまったことも、いまなら再挑戦できるような気がした。

幼児教育事情、国境を越えて!

何が起こるかわからないが、私、くろねこのEducational Leaderとしての新しい「笑いあり涙あり」にちがいない旅を、読者の皆さんと共有できたらいいなと思い、このブログを始めることにした。日本とオーストラリアの幼児教育ではスタイルも方法も異なるところがあるのかもしれない。が、一方で保育士、または教師としての思い入れや現場で感じるジレンマなど、国境を越えても共感できることがたくさんある。

ブログを書く中で、文化や実践あり方の違いに触れて、読者のみなさんの興味をそそることもあるだろう。また、壁にぶつかったときなどは、日本の先生方のコメントやアドバイスに助けられるのかもしれない。このブログが、そんな風に、オーストラリアと日本の幼児教育を繋げてくれるのかもしれないと、少しワクワクしている。

Educational Leader は食わせ物

今日は第1話なので、とりあえず、このオーストラリアの幼児教育施設の Educational Leaderっていうポジションっていったい何ぞや?という話をしたいと思う。

Educational leaderというのは、その幼稚園の先生チームのリーダーなのだが、実はこの役職、かなり食わせ物なのである。日本の幼稚園保育園の「主任保育士」という役職と比べると、ちょっと説明のしにくいポジションであるのだ。

このブログで「日本の幼稚園でできるの?、やろうよプロジェクト学習、子供が主体の学びの冒険」シリーズでもいろいろなところで詳しく説明させていただいたが、オーストラリアの幼児教育、25年ほど前などは全然質が低かった。日本の大学で幼児教育を勉強した私なんか、オーストラリアの異常な呑気さにかなりカルチャーショックを感じたものだ。まず教育・保育指針というものは存在すらせず、保育計画は「あったほうがいい」のレベル。

オーストラリア幼児教育あせりの極致

ところが、2007年ごろから、どうしたことか、オーストラリアの文部省、急に奮い立ったちゃったのである。これにはオ-ストラリアの経済がどんどん成長してきたっていう理由もあるんだろう。お金ができれば、それを使って、もっとインテリジェンスで豊かな国になりたいと思うのはどこでも同じ。それまで移民に頼ってきたオーストラリアは、これからは国内でよい人材を育てたいと野望を抱き始めた。

「幼児教育の重要性」なる論文が次々と登場し、それに担がれた政府のお役人は、「あっ」っという間に、オーストラリア発の幼児教育指針を作り上げたかと思うと、それから 「古い考えの先生たち」のお尻をペチペチ鞭打ちはじめ、最先端の幼児教育ノウハウを叩き込んでいった。あれから10数年。オーストラリアの幼児教育はものすごい速さで新しく塗り替えられた、ってわけなのだ。

日本の主任保育士とオーストラリアのEducational Leader

で、そこで登場したのが、そのEducational leader っていうよくわからない役職である。つまりだ。先生チームのリーダーとして、他の先生たちの実践をサポートし、その幼稚園の教育実践の質を盛り上げるる、と、ま、そういうものなんだが、これが実に中途半端である。日本の「主任保育士」のような「権限」は全くなく、したがって、他の先生たちはEducational leaderを自分たちの「上司」などと思ってもいない。一番わかりやすい説明は、つまりは日本でいう部活動の部長である。同じ生徒で部員だけど、勿論えらいわけでもない。

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つまりEducational leaderってのは、「まとめ役」なわけである。 ところが、なのだ。ここが問題なのだが。そういう役にもかかわらず、Educational leaderってのはカリキュラムの質の向上の責任を担っていて、国の監査が来るとき時も、その責任を担わされるわけである(この話はこちらの話に詳しく書いたよ)。なので 難しいのだ。「仕事をこのようにやってください」と言える権限があるなら、みんな従うしかないから簡単かもしれないし、権限がなくても責任がないのなら、ただ楽しくほかの先生をサポートしていればいいだけである。が、そうはいかないのだ。結果は出さなければいけない。

くろねこ先生は忍耐力がないから、面白い。

だから、この仕事は、忍耐の連続である。しかも、自分にも自分のクラスがあるから、そこでは常にロールモデルでなければならない。だが、私くろねこ先生、全くもって忍耐力がないのである。

だが、いや、だからこそ、忍耐の欠片がまるでないくろねこ先生の、このEducational Leader復帰の大奮闘記を皆さんとこのブログでシェアするのは、絶対に面白いだろうと確信したわけである。

次の回から、話を始めようと思うが、まず初めにくろねこ先生のイラストで登場人物を紹介しようと思う。お楽しみに!オーストラリア幼稚園先生奮闘記第2話はこちらから!

こんなお話もあるよ!

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