笑っちゃうお話の前にちょっと堅い話

今回の「誰も知らないメルボルン探検」のは記事は、ハンギングロックHanging Rockという観光地を紹介する、ちょっと緩めの楽しい記事ですが、ちょっとその前に少しかたい話。

私たちがこの大地で感じていたいこと

オーストラリアの大地に一歩でも踏み入れることがあるのなら、必ず経験するべきであるのが、先住民アボリジニの文化とその精神性の神秘さ知り、畏敬の念を感じることです。なぜかというと、(今は)オーストラリア(と呼ばれている)この大地は6万5千年以上の太古から 彼らアボリジニの心と深く繋がっていて、彼らによって長い長い間大切に守られてきた、かけがえのない地球の一部だからです。


オーストラリア政府は2008年にオーストラリア先住民(正式にはAboriginal Australian and Torres Strait Islander peoplesという) に対して公式に謝罪を声明しました。それ以降、オーストラリアでは、幼児教育から大学まで、そしてすべての公共機関やありとあらゆる人々の集いの場で、「今自分たちが立っているこの土地はアボリジニの神聖なる土地で、私たちはそれを敬い、後世にその事実を伝えていきます」と認識を確認する習慣が、国全体の真剣な取り組みによって定着してきました。けれどもオ-ストラリアは周知の通り多民族国家であり、常に新しい市民を受け入れている国でもあります。このオーストラリア先住民の文化を学び、大地を敬い、自然と人間の大切な繋がりを受け継いでゆくことは、この土地に踏み入った私たち移民の大切な役割でもあると、私は思っています。

今回の記事は、私たちが訪れるオーストラリアのどんな観光スポットにも、その背景には必ずオーストラリア先住民の大切にして来た大地がひっそり息付いてているという事を、皆さんと感じていきたいと思い、ハンギングロックでの体験を例に挙げて書かせていただいたものです。この記事を読んでオーストラリア先住民のことを知り、そのことによって、ますますオーストラリアという国の魅力を知っていただけたら嬉しいです。

ハンギングロックに行ってみようよ!

では心ほっこりメルボルンの旅のお話、行ってみましょう!まずは行き方ね。

ハンギングロックどうやって行くの?

メルボルン市街から北西に向かってカルダーハイウエイCalder Freeway を一時間ほどドライブするとウッデンドWoodendという田舎町につきます。そこからさらに10分ほど北東に車を走らせるとハンギングロック Hanging Rock に到着します。

ところで、ハンギングロックって何(笑)?

このハンギングロックには一年を通じてたくさんの観光客が訪れます。どうしてこの岩山にたくさんの人がやってくるかというとですね、ここは、ジョアン リンディJoan Lindsayというオーストラリアの女流作家が1967年に書いた「ハンギングロックでピクニックPicnic at Hanging Rock 」という小説の舞台となったところなんです。この小説は、人気があったので1970年にピーター ウエアPeter Weir監督によって映画化されました。

ふうん、じゃあその「ハンギングロックでピクニック」ってどんな話?

どういうお話かっていうとですねー、ここはちょっと、Wikipediaを見ちゃいましょう。こんな感じです。

1900 年代、オーストラリアの女子寄宿学校に通う女子生徒のグループがバレンタインデーのピクニック中にハンギング ロックで行方不明になり、この失踪事件が学校側と地域社会に大変な影響を与えました。

’え?これだけー?’って思いますけど、本当にこんな感じです。で、じゃあどうしてそんなにこのお話がたくさんの人から読まれたかというとですね、このお話は、はじめ ノンフィクションの話だと人々は思っていたからなんです。April Glover っていうブロガーがWhat Really Happened at Hanging Rock: The True Story(ハンギングロックで本当は何があったのか)という記事の中でこんなふうにいっています。

この小説は、フィクションとノンフィクションの境界線を越えており、本の冒頭に不気味な序文があります。 ’ハンギング ロックでのピクニックが事実かフィクションかは、読者が自分で判断する必要があります。 運命のピクニックが行われたのは 1900 年であり、この本に登場する登場人物は全員亡くなってからずっと長いので、重要とは思えません。

WWWW笑 おっかしいですねー。ジョアンリンジー は1974年のインタービューでもこんなことを言ったそうです

それが本物かどうかを尋ねられたとき、リンジーは次のように答えました。 自分で結論を出せるならそれでいいけど、そんなことは関係ないと思うよ’

また、Joseph Earp という作家は、How White Australia and Picnic At Hanging Rock have tarnished the legacy of a sacred Aboriginal site(オーストラリアの白人と「ハンギング ロックでピクニック」は、神聖な先住民の遺跡の遺産を汚した)という記事の中で、ジョアン リンジーは、人々に彼女がいかに自分の作品を売るかを心得ており、この小説が人々に本当にノンフィクションであることを思わずにいられないような戦略をするのがいかにうまかったかと書いています。

ハンギングロックの恐ろしい話とメルボルン子

私がこの映画Picnic at Hanging Rock を初めてみたのは、息子のうさぎ君が幼稚園の時で、うさぎ君の友達のドイツ系オーストラリア人のお母さんが

「これ見てみてよおもしろいから。これね、オーストラリアで有名な映画なのよ。ちょっと怖いけど、これね本当の話なのよー」

と言って、当時はまだ現役だったビデオテープ を持ってきてくれたんです笑。本当にみんなまだ信じていたんですねー。本当の話だと思って見てみるとこれが本当に怖かった!!!背中がぞくりとしました、ほんとに。その女子学生たちが、学校のピクニックを離れて、危険だから行ってはいけ言われた岩山の中に入って行ってしまいます。そしてその岩の一角に吸い込まれて失踪してしまうわけなのです。

「ひい!」Photo by Mishal Ibrahim on Unsplash

…本当だと思うと怖いでしょ?映画の演出もなかなか不気味でミステリー感いっぱいでした。

それで、その後、家族でハンギングロックに行ってみようということになったわけです。その時、初めて訪れたハンギングロックのその怖かったこと! あのミステリアスな岩山に登ったりしたら自分も消えちゃうんじゃないかって怖かった。何せオーストラリアの人のほとんどが「本当にあった怖い話」として信じていたわけで、その岩が実際に自分を取り囲んでいるわけですから。観光地で人がたくさん来てにぎわっているのに、不気味な、不思議な空気が漂っていて、それなのになぜか、人々はその不気味な観光を楽しんでいる…。おまけにハンギングロックの岩山のふもとには「彼女たちの失踪」と題して小さな博物館まであり、映画の画像を追いながら失踪事件の全容が事細かく展示されているではありませんか!ぶるぶる…

そしてとうとう「うそ」がばれちゃった!

それから最近になるまでハンギングロックの話は本当だと信じていました。ところが今年のイースター祭の秋休みにですね、また家族でハンギングロックに行ってみようということになったときに、今年25歳になる息子のうさぎ君が私とのび太君(だんなさん)にひと言。「だからさーあれは、うその話だったんだてー。小さいころから、お母さんがあれはホントの話だからっていうから、自分も信じてたけどーそれ友達に言ったら、笑われたよー」それでびっくり。

ハンギングロックの本当の風景

あの小説はうその話だとわかってハンギングロックに行ってみると風景がまるで違って見えました。


岩波の神秘さ、新鮮な空気、太陽にキラキラ輝く木々、そして何よりもあの岩山から見える世界の眺め。

まるで大地がほら世界を見てごらん、地球の美しさを見てごらんと言っているかのようです。

私はメルボルンで長く幼稚園教諭をやってきたので、多少なりともオーストラリア先住民アボリジニについての基本的な知識はありました。なのであの小説が実は嘘だったとわかって後に、ハンギングロックを改めて眺め、その美しさに触れそれを意識して見たとき、その地は映画の舞台である前に、アボリジニの聖地ではなかったのか、とやっと気が付くことができました。

ハンギングロックから受けた感動を動画に残して

そして、その感動の体験をもとにして、歴史の事実をリサーチをしてから、作ったのがこのビデオです。みなさんにぜひ見てもらいたいなあと思います。

私たちがハンギングロックを訪れる本当の意味

有名で滑稽な映画の舞台としてハンギングロックに訪れるのも楽しいですが、オーストラリア先住民への畏敬の念をもってこの岩山を探索するのが、この自然と神秘さを満喫できる一番の方法だと思います。

パンデミックが無事終わったら皆さんもぜひ、この限りなく魅力的なアボリジニの聖地に行ってみてくださいね。あなたもきっと自然の一部になれる素敵な感覚を体験し、ほんの少しだけれども、 オーストラリア先住民の が長い長い間慈しみ大切にしてきた地球を感じる事ができるきっかけになるでしょう。

また遊びに来てね!

ハンギングロック の公式ホームページはこちらからどうぞ。

今回の’誰も知らないメルボルン探検’、「オーストラリア先住民アボリジニ文化の宝箱~ハンギングロックから見える本当の風景~」いかがでしたか? これからも誰も知らない、心で感じる小さなメルボルンの旅の記事をどんどん出してゆきたいと思います。また心ほっこりEarth Children Blogにぜひ遊びに来てくださいね。

参考文献 References

References; What Really Happened at Hanging Rock -https://www.vice.com/en/article/qkzzzv/what-really-happened-at-hanging-rock l How White Australia and Picnic At Hanging Rock have tarnished the legacy of a sacred Aboriginal site -https://thebrag.com/how-white-australia-and-picnic-at-hanging-rock-have-tarnished-the-legacy-of-a-sacred-aboriginal-site/ l Play School Acknowledgement of Country – Educator Notes – https://www.abc.net.au/cm/lb/11457222/data/acknowledgement-of-country-notes-data.pdf  l How White Australia and Picnic At Hanging Rock have tarnished the legacy of a sacred Aboriginal site -https://thebrag.com/how-white-australia-and-picnic-at-hanging-rock-have-tarnished-the-legacy-of-a-sacred-aboriginal-site/  l No Picnic at hanging Rock: Campaign to recognise past rather than ‘White Myth’. https://www.abc.net.au/news/2017-01-17/campaign-to-recognise-indigenous-history-hanging-rock/8187942

 

こんなお話もあるよ!

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